本研究の目的はラット歯牙の象牙質・歯髄複合体においてgap junction構成蛋白質であるconnexinの局在を蛍光抗体法で、connexinのmRNAの発現をin situ hybridization法で観察し、象牙質・歯髄複合体におけるgap junctionの意義を考察することにある。 平成9年度、報告者はラット切歯象牙質・歯髄複合体構成細胞においてconnexin43の局在を蛍光抗体法にて、またconnexin43 mRNAの局在をin situ hybridizationにて検索した。その結果、蛍光抗体法ではconnexin43はdifferentiating dental papilla cellでは認められなかったもののyoung odontoblast、old odontoblastに向かうにしたがいconnexin43の発現が著明となり、short odontoblastでは発現は減弱した。歯髄細胞では発現は認められなかった。In situ hybridization法ではdifferentiating dental papilla cellの段階でconnexin43-mRNAの発現が観察され、以後、蛍光抗体法と同様にyoung odontoblast、old odontoblastでは発現が増加した。また歯髄細胞においても陽性を示す像が散見された。これらのことよりconnexin43は象牙芽細胞の機能発現に関与している可能性が示唆された。以上の結果を第39回歯科基礎医学会(小倉)で発表した。現在、追加実験をするとともに免疫電顕法によるconnexin43の超微的局在の検索とRT-PCR法によるconnexin43のmRNAの発現の確認、検索を行っているところである。
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