機械的刺激によって惹起される骨芽細胞の分化および骨形成の促進における局所因子の変化を解明する目的で、昨年までに、マウス頭頂骨矢状縫合部に張力を加えると、骨芽細胞の分化促進因子の一つであるBMP-4の発現量が増加することを明らかにした。 今年度には、どの細胞においてBMP-4発現が変化しているのかを調べるために、in situ hybridization法を導入し、そのほかの骨芽細胞分化マーカーとともにその発現局在を検討している。 また、伸展刺激によって発現変化する遺伝子をさらに広く検索するために、RAP法をもちいて、3時間という比較的初期に見られる、対照群と伸展刺激群での遺伝子発現量の違いを検討した。その結果、これまでに、明らかに遺伝子発現量に違いがあるものとして、ある種の細胞接着因子や骨組織の石灰化と関係のある基質と考えられる因子が検出されている。現在、これらと機械的刺激による骨芽細胞分化促進との関係を検討中である。そのほかにも新規遺伝子らしきものが検出されつつあり、その中のいつかについて塩基配列を決定し、クローニングする準備をすすめている。
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