Takahashi et al.(1998)の方法に準じ、vitamin D3とprostagrandin E2の存在下で、6週齢ddyマウスの骨髄細胞と、新生ddyマウスの頭蓋骨由来の骨芽細胞様間質細胞の共存培養をコラーゲンゲル上で行った。培養7日目に、コラゲナーゼ処理により破骨細胞をゲルから回収し、プラスチックプレート上に再播種した。播種15分後にラテックスビーズを培養液に中に加えると、破骨細胞は多くのラテックスビーズを取り込むことが確認された。波状縁膜とファゴソーム膜はその形成過程の類似性から、それぞれを構成している膜タンパク質も類似していると考えられる。そこで、現在このラテックスビーズを包んでいるファゴソーム膜の大量調整を行っている。一方、マクロファージと破骨細胞のファゴソーム膜の構成タンパク質の違いを知る目的で、肺胞マクロファージから破骨細胞様細胞の形成を行った。マウス肺胞マクロファージと骨芽細胞様間質細胞の共存培養をvitamin D3とprostagrandin E2の存在下で行うと、培養7日めまでに酒石酸耐性酸性フォスファターゼ陽性の多核の細胞が多数出現した。これらの細胞に破骨細胞に特異的なリソソーム性酵素カテプシンKが発現しているか否かを知るために、マウスカテプシンKのC-末端に対するペプチド抗体を作製し、免疫染色を行った。その結果、肺胞マクロファージにはカテプシンKの免疫活性が全く見られないのに対し、共存培養後の多核の破骨細胞様細胞にはカテプシンKの大量な発現が認められた。
|