研究概要 |
S.mutansピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)の発現を,好気的な実験環境下で容易に検出できるようにするため,S.mutans染色体DNA上でPFL遺伝子とクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子がオペロンを形成している変異株を作成した. そして,この変異株を用い,種々の発酵条件下(好気,微嫌気および高度嫌気条件下各種糖類の種々濃度)におけるS.mutansPFLの発現状況を,CAT活性を指標に解析した. さらに,種々の発酵条件下で培養したS.mutansから全RNAを分離し,RT-PCRを利用しm-RNA転写レベルからも直接的にPFLの発現を解析した.炭素源としてGlucoseまたはGalactoseを高濃度(56mM)与え嫌気的条件下で培養した菌株では,PFLのmRNA転写量は少なく,これに対しGlucose制限条件下ではPFLのmRNA転写量が増加していた.好気的条件下で培養した菌株からも,PFLのmRNA転写を検出した. また,S.mutansのPFL activeting enzyme(PFLAE)のクローニングでは,既報(E.coliとClostridium pasteurianum)のPFLAEアミノ酸残基配列から相同性の高い領域を選びPCR用のプライマーを合成し,S.mutans染色体DNAを鋳型としてPFLAE遺伝子領域の増幅を試み,目的とするPFLAE遺伝子領域と考えられるフラグメントを得た.そして,この領域がE.coliやClostridium pasteurianumのそれと異なり私たちらによって報告されたようにPFLの下流の領域には存在しないことを,S.mutansの染色体DNAをNotlやApalによって切断しパルスフィールド電気泳動後サザンブロッティング分析することによって確認した.
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