研究概要 |
前年度に、核移行シグナルを有する改変Tau/Tusタンパク質発現ベクターをNIH3T3/13C7に導入したところ、安定なTau/Tus発現細胞株が得られないことを報告した。この理由を検討するために、改変Tau/Tusと蛍光タンパク質であるGFPとの融合タンパク質の発現を可能にするベクターを構築した(pGTNL)。このpGTNLをNIH3T3/13C7細胞に導入し、24,48時間後に蛍光顕微鏡により細胞の観察を行ったところ、融合タンパク質は核内に局在し、しかも核小体領域と思われるところに、高濃度に存在した。また、融合タンパク質を発現する細胞の多くが48時間後には消失していた。また、pGTNLを導入後、ネオマイシン存在下で培養することにより、ネオマイシン耐性株を得たが、その細胞について、蛍光顕微鏡による観察を行うと、融合タンパク質が発現している細胞と発現していない細胞が混在していた。そこで、限界希釈法により、一細胞由来のコロニーを得たが、そのコロニーの中にも融合タンパク質を発現している細胞と発現していない細胞が混在していた。また、これらの細胞は核の形態が異常なものがほとんどであった。 以上の結果より、改変Tau/Tusタンパク質がNIH3T3/13C7細胞のDNA複製や細胞分裂の異常を引き起こしている可能性が示唆された。
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