(1)腫瘍ワクチンの作製:5.0×10^5のB16 melanomaあるいはSq1979(マウス扁平上皮癌)に対して、0.7KE(0.07mg)のOK-432を加え、pH7.38・室温の条件下で0.2%グルタールアルデヒドを用い1時間重合させ、OK-432重合腫瘍ワクチンを作製した。(2)抗原性の保持:作製したOK-432重合腫瘍ワクチンは、抗OK-432抗体にて染色されることから上記条件下での重合ではOK-432の抗原性は保たれることが示された。また腫瘍自体の抗原性も保持されることが示唆された。(3)安全性:80%以上の重合細胞がトリパンブルーに濃染し、培養しても増殖がみられなかった。300回以上マウスへ接種しても腫瘍は発生しなかった。以上から、OK-432重合腫瘍ワクチンは失活しており宿主に対して極めて安全であると考えられた。(4)有効性:2.0×10^5のB16メラノーマは接種後、21日目で100%の腫瘍発生率を示したが、腫瘍接種前に5.0×10^5のOK-432重合B16細胞(B16ワクチン)を3回免疫した群は42.9%の腫瘍発生率にとどまった(P<0.05)。またコントロール群では40日までには100%のマウスが死亡したが、B16ワクチンを3回免疫した群は42.9%の死亡にとどまった(P<0.05)。さらにこの群の28.5%のマウスが完全にB16メラノーマを拒絶することができた。次に、4.0×10^5のB16メラノーマを接種後にB16ワクチンを免疫してその効果を調べた。コントロール群では25日目までには100%のマウスが死亡したが、B16ワクチンを3回免疫した群は50%の死亡率にとどまった(P<0.05)。次いでOK-432重合Sq1979細胞(Sq1979ワクチン)の効果について調べた。8.0×10^6のSq1979を接種後、Sq1979ワクチンで3回免疫した群は、Sq1979の増殖をきわめて強く抑制した(P<0.01)が、B16ワクチンやOK-432単独では抑制が困難であったことから本方法により腫瘍特異的免疫の誘導が示唆された。
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