研究概要 |
口腔腫瘍に対する放射線治療において重要な副作用の一つである放射線骨障害とアポトーシスの関係に注目し、骨芽細胞におけるアポトーシスの存在やそのpathwayに関してヒト骨芽細胞様細胞(SAOS-2、MG63)及びマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)を用いて実験を行っている。そしてこれまでに、これら3種の骨芽細胞様細胞に蛋白質脱リン酸化酵素阻害剤(10nMオカダ酸及び2nMカリクリンA)を投与することにより、一様にアポトーシスが生じることを確認している。その際、SAOS-2及びMG63細胞で生じるDNAラダーパターン形成がMC3TD-E1細胞では生じないこと、またSAOS-2及びMG63細胞でのDNAラダーパターンの形成には蛋白質脱リン酸化が関与していることを報告した(Morimoto Y. et al., Exp. Cell Res. 230 181-186, 1997)。さらに我々は、MG63細胞およびMC3T3-E1細胞では、このアポトーシスが低濃度の蛋白合成阻害剤(サイクロヘキシミド、ピューロマイシン)及びRNA合成阻害剤(アクチノマイシンD)により制御されることを発見した(Morimoto Y. et al., submitted)。この結果は、MG63細胞及びMC3T3-E1細胞では、この系のアポトーシスに新しいmRNAの発現及び蛋白合成が関与していることを示唆するものである。
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