口腔腫瘍に対する放射線治療に起因する骨障害の病態解明を、骨芽細胞におけるアポトーシス機能を解明する方面から追求してきた。これまでにヒト(Saos-2、MG63)及びマウス(MC3T3-E1)の骨芽細胞様細胞にアポトーシスが生じ、そのpathwayの一部に蛋白質リン酸化及び脱リン酸化反応が関与していることを蛋白質リン酸化酵素阻害剤(オカダ酸とカリクリンA)を用いて報告した(Morimoto Y.et al.1997)。そして平成10年度の研究期間中に、オカダ酸誘導アポトーシスには蛋白合成とRNA合成が一部関与していること(Morimoto H.et al.in press)及びその蛋白の一つはFas抗原/リガンドであることを発見した(Morimoto Y.et al.submitted)。更に、我々は、アポトーシス細胞で鍍銀染色に陽性反応を示す核小体形成帯いわゆるAgNORsが消失すること、アポトーシス誘導の際に、鍍銀染色に陽性反応を示す110kDa核内蛋白が消失し、80kDaの鍍銀染色に陽性反応を示す蛋白が出現することを発見した(Morimoto Y.et al.submitted)。同時に、cell-free systemにおける解析の結果、110kDaの蛋白の変化はアポトーシスの実行機構であるDNA fragmentaionと密接な関係があることも発見した。我々が開発したcell-free systemではこれまでの報告と異なり、正常な細胞から抽出した細胞質でも正常な核にDNA fragmentationを誘導することが確認された。
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