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1997 年度 実績報告書

歯髄・象牙質再生における液性因子と細胞外基質の役割の分子細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09771618
研究機関広島大学

研究代表者

柴 秀樹  広島大学, 歯学部, 助手 (60260668)

キーワード歯髄細胞 / 1,25(OH)_2D_3 / オステオカルシン / オステオネクチン / mRNA / 増殖期 / 増殖停止期
研究概要

歯髄・象牙質再生における液性因子の役割を明らかにするため,本研究では,1,25-dihydroxyvitamin D3〔1,25(OH)_2D_3〕がヒト歯髄細胞のオステオカルシンとオステオネクチン発現に及ぼす影響についてヒト歯髄細胞培養系を用いて検討し,以下の結果を得た。
(1)オステオカルシン産生に及ぼす影響:1,25(OH)_2D_3非存在下では,歯髄細胞の増殖期および増殖停止期において,歯髄細胞はオステオカルシンを産生しなかった。歯髄細胞の増殖期において1,25(OH)_2D_3は,オステオカルシン産生を少し誘導した。一方,増殖停止期に歯髄細胞に1,25(OH)_2D_3を作用させると,オステオカルシンの産生は著しく増加した。増殖期および増殖停止期における1,25(OH)_2D_3によるタンパク質の増加は,オステオカルシンmRNAの増加に相関していた。
(2)オステオネクチン産生に及ぼす影響:オステオネクチンの産生は増殖期は低いレベルだが,増殖停止期には,著しく増加した。増殖停止期において,1,25(OH)_2D_3は,オステオネクチン産生とそのmRNA発現を減少させた。
1,25(OH)_2D_3は,骨組織代謝に関わる重要な全身的調節因子である。また,象牙芽細胞には1,25(OH)_2D_3の受容体が認められている。このように,1,25(OH)_2D_3は象牙質形成に重要な役割を担っていると考えられる。オステオカルシンおよびオステオネクチンは象牙芽細胞が分泌し,さらに,それらタンパク質は象牙質に含まれいる。しかしながら,1,25(OH)_2D_3が歯髄細胞のオステオカルシンおよびオステオネクチン産生に及ぼす効果は不明な点が多い。本研究の結果,1,25(OH)_2D_3は,増殖停止期の歯髄細胞において,オステオカルシンおよびオステオネクチンの発現に対して異なる作用を示すことが明らかとなった。このことにより,1,25(OH)_2D_3はin vivoにおいて,象牙芽細胞に作用しオステオカルシンおよびオステオネクチンの産生を制御し,象牙質形成に関与していることが考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 柴 秀樹, 他: "ヒト歯髄細胞の細胞外基質産生に及ぼす増殖因子の影響" 日本歯科保存学雑誌. 40・春季特別号. 8-8 (1997)

  • [文献書誌] 藤田 剛, 他: "ヒト歯根膜由来線維芽細胞におけるSPARCの発現と役割" 日本歯科保存学雑誌. 40・秋季特別号. 71-71 (1997)

  • [文献書誌] Hideki Shiba et al.: "Differential Effects of Various Growth Factors and Cytokines on the Syntheses of DNA,Type1 Collagen,Leaiain Fibrorectin,Osteonectin/Secreted Protein,Acid and Rich in Cyreein(SPARC),and Hkafine Phosphatase by Human Palplells is Culture." Journal of Cellular Physiology. 174. 194-205 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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