1. 線維芽細胞用に用いたMEMを共培養に用いると内皮細胞は増殖せずに減少した。一方、内皮細胞用の培養液を用いると、最初は線維芽細胞の増殖は抑制されたが、2-3日で異なる環境に適応できてきて、ゆっくりと増殖を始め、しだいに内皮細胞の増殖を抑制し内皮細胞は減少してきた。またFBSの濃度を5-20%の範囲で調べると濃度の高い方が両細胞ともよく増殖したが、共培養系に最適な濃度は決定できなかった。共培養用の培養液の選択等、条件を決定するのは困難で、現在検討中である。 2. 3次元培養系を用いて歯髄から分離した線維芽細胞の増殖能に及ぼすレーザーの影響を調べ、2次元培養系と比較した。エネルギー密度0.52と1.04 J/cm^2の半導体レーザー(波長830nm)を用いた実験では1.04 J/cm^2の照射条件において2次元培養では有意差はなかったが、3次元培養では有意差が認められた(p<0.01)。エネルギー密度0.1と1.0 J/cm^2のアルゴン・ダイレーザー(波長632nm)を用いた実験でも同じく、0.1J/cm^2の照射条件において2次元培養では有意差はなかったが、3次元培養では有意差が認められた(p<0.01)。また、細胞遊走実験では2次元より3次元培養系の方が明らかにレーザーによる細胞に及ぼす効果が認められた。このように3次元培養系を用いた方が細胞にとってより生体に近い条件であり、レーザーの効果、薬剤の毒性等を調べる研究に適していると考えられた。
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