1.同一のシステムでありながら光重合型ボンディング剤に化学重合触媒を加えることで光・化学重合型となる、2方法の重合形式のボンディング剤を有する市販象牙質ボンディングシステムを使用して、ウシ象牙質にコンポジットレジンを接着した試験片に繰り返し応力を与え、以下の結果を得た。 (1)光重合型ボンディング剤に化学重合触媒を添加ことにより、接着部の物性が何らかの影響を受け、剪断接着強さおよび疲労耐久性ともに向上した。 (2)この破壊面を、EPMAにて分析したところカルシウムがわずかに存在する部位を主に、一部に豊富に存在する部位とほとんど存在しない部位を含んだ破壊であったことから、一部に象牙質やボンディング剤を含む樹脂含浸層を主体とした破壊であると推測された。 2.1で得られた疲労寿命を基にし、その繰り返し数よりもわずかに前つまり疲労破壊直前に負荷をやめ、疲労亀裂の進展領域をSEMにて観察した結果、その亀裂は樹脂含浸層を一様に進展するわけではなく、弾塑性変形域内の弱い部分に生じた複数の亀裂を最終的に連続しながら、樹脂含浸層内外を徐々に進展していく像が観察された。 現在、より詳細に亀裂を観察するために研究中である。
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