研究概要 |
顎機能異常の原因の一つに咬合因子が挙げられるが、どの顎位におけるどのような咬合接触が問題であるのか不明である。そこで、本研究では、実際の臨床で発生しやすい微少な咬合接触の変化に注目し、咬頭嵌合位付近の微少な咬合接触の違いと関節に加わる力、および閉口筋活動との関連について2年計画で検討している。 実験は、顎機能に異常が認められない男子7名について、まず、咀嚼閉口時の咬合接触状態をシミュレートするために被験者に片側でストリップスを咬みしめさせた.このときの非咬みしめ側の咬合接触状態をブラックシリコーンを用いて記録し、画像解析装置にて接触面積を測定した。接触状態を記録したブラックシリコーンは、咬合平面に平行な平面上で安定するようにした後、画像解析装置を用いて、40〜50μの光線透過率を閾値として二値化し、左右それぞれについて接触点の面積の和を求めた。 次に、被験者の下顎に加わる機能力を評価するために、セントラルベアリング装置上で咬合させ,そのときの下顎左右第2大臼歯部の上方変位量を測定しました。下顎の変位計測には当教室で開発した作動トランスデューサーを応用した下顎変位測定装置を用い、左右第1小臼歯、および左右第2大臼歯の上下方向の変位を記録した。 詳細な分析結果は次年度に譲るが、非咬みしめ側接触面積の左右差と、セントラルベアリング装置上で咬みしめた場合の第2大臼歯部における上方変位量の左右差は相関関係を有していた。このことは、歯の咬合面形態の影響下にある非咀嚼側の咬合接触状態が、下顎に加わる機能力および顎関節の支持と密接な関係にあることを示している。次年度は、さらに筋活動との関連についても検討を加える予定である。
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