研究概要 |
1.研究の目的 本研究の目的は顎機能障害患者において,どのような咬合異常と顎機能障害との関連が強いかを明らかにすることである。咬合の安定性および咬合干渉等の咬合異常に関する咬合データを分析して顎関節部のMRI画像データとを比較検討する。 2.研究方法 顎機能障害患者は臨床症状と顎関節部MRI画像等で病態診断を行った22名を選択した。咬合干渉,歯牙ガイド等の咬合データを,プロトコールに従って記録した。咬頭嵌合位での安定性およびバランスをストリップスの引き抜き試験とデンタルプレスケールで分析した。顎関節部の病態はMRIを撮影し,画像診断,分析を本学歯科放射線科医と共同で行った。この咬合関係のデータと顎関節部の画像データと比較し分析した。顎関節部に異常のみられない被験者と比較するために実験の主旨を十分説明し納得の得られたボランティア24名にも同様の検査を行った。顎関節部の画像データによってグループ分けし,患者群と対照群の咬合関係のデータを比較し分析した。 3.結果 顎機能障害患者22名の内訳は男性1名,女性21名で平均年齢28.9歳であった。その患者群22名を顎関節部MRIによる画像診断で分類すると、復位を伴う前方転位の者が8名,復位を伴わない前方転位の者が14名であった。対照群のボランティア24名の内訳は男性12名,女性12名で平均年齢25.2歳であった。この対照群24名を顎関節部MRIによる画像診断で分類すると,顎関節部に異常の見られない者が15名であり,復位を伴う前方転位の者が9名であった。咬合データ(咬合干渉、ガイド、咬合の安定性)と顎関節部の画像データとの関係は、学会や論文での発表を行っていないので、今回は公表を見合わせたい。
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