研究概要 |
カテーテル・義歯などの医用高分子材料には,カンジダアルビカンスをはじめ,数種のカンジダ属が容易に定着し,臨床において高頻度に分離される.義歯の場合,このようなカンジダによって,義歯性口内炎や隣在歯あるいは鉤歯のカリエスが引き起こされるだけでなく,嚥下性肺炎や腸管内感染が引き起こされる危険性もある.したがって,カンジダによる義歯材料表面へのバイオフィルム形成に関与する因子を明らかにすることは非常に重要である.本年度の研究では,バイオフィルム形成に関与するカンジダの病原性因子を検討した結果以下の知見を得た. Candidaによるバイオフィルム形成は、歯株に依存的であるが,特に菌糸形成能などの菌株固有の性質やペリクル中の血清成分の濃度に加え、ジグモトロピズムという材料表面に沿って菌糸を伸ばす性質のような菌体と材料との相互作用および菌によって産生される酸によるpHの低下という環境因子など種々の因子が複合的に関与していることを明らかにした.
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