研究概要 |
本研究の目的は,患者の顎関節多層断層X線写真で得られた顆頭の3次元的形態データを元に,コンピュータグラフィック上で適切な顆頭位を模索し,スプリントの咬合位を決定する臨床応用可能なシステムを開発することである. そこで本年度は,適正な顆頭安定位を検討するために,健常者群,有病者群,患者群,各25名,合計75名について顆頭中央部における顆頭位を比較検討し,その結果を第10回日本顎関節学会にて発表した.その一方,顎関節多層断層X線撮影による診査が必要とされ,本研究の主旨に同意し,インフォームドコンセントの得られた徳島大学歯学部の顎機能障害患者のうち,顎関節部に形態変化のないものを被験者として選択し,被験者の顎関節断層X線写真をX繰フィルムディジタイザ(Vidar社製 VHR-12)で,パーソナルコンピュータに取り込んだ.現在,得られた画像データを3次元画像解析ソフトにより3次元形態データに変換し,顎関節の3次元再構築像を作製中である. 次年度は,健常者の顆頭位を参考にして,患者の顆頭位を評価し,関節窩内において顆頭が中央で安定して位置する顆頭安定位をグラフィックターミナル上に求め,得られた顎位でスプリントを製作し,患者に装着.さらに,スプリントを装着した状態で顎関節多層断層X線撮影を行い,この顎位とシュミレーションによって求めた顆頭安定位を比較検討し,求めた咬合位の治療効果を評価し,術式を確立する予定である.
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