研究概要 |
無菌顎患者の顔貌は,総義歯の形態により影響を受けるため、総義歯の作製時には審美性を考慮して設計を行っている。一般的には、無菌顎顎堤の解剖学的基準点をもとに作製した咬合床を患者の口腔内に試適し、調整している。しかしながら、その基準はあいまいで、術者の経験に左右されるところが大きい。 本研究の目的は,顔貌への影響が大きい咬合床の唇側部の形態を変化させることによって,顔面形態にどのような影響を与えるかを,非接触型3次元形状計測措置を利用して計測し,無菌顎顎堤に対する総義歯前歯部の設計の基準を得ることである。 平成9年度は、顔貌と咬合床唇側部の形態との空間的位置関係を解析するためのシステム構築ならびに解析方法の検討を行った。まず、画像合成の精度向上を目指し、非接触型3次元顔貌計測装置(Voxelan,現有設備)にて顔貌を計測する際に、頭位を一定にするために頭部固定用装置を作製した。また、大量の画像データを処理するために、パソコン(購入備品)、光磁気ディスクドライブ(購入備品)等の補助記憶装置などでシステム構築した。さらに、顔貌と咬合床データを重ね合わせるための基準点や方法を検討し、Visual Basicで解析ソフトウェアを開発した。 平成10年度は、重ね合わせの精度向上の検討を行い、無菌顎被験者前歯部唇側の形態を段階的に変化させた咬合床を作製し、計測データを収集し、数値的解析を行っていく予定である。
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