研究概要 |
前年度までに24〜26週齢の雌性ラットを用い,卵巣摘出術を施し8週間の通常飼育の後,実験的骨粗鬆症を発症したラットの下顎骨下顎角部に直径3.5mm貫通性の実験的骨欠損を作成し,その修復過程における相違を観察し以下の結果を得た. 1. 卵巣摘出群は偽手術群に比べ有為にBMDが低く,実験的骨粗鬆症が引き起こされていることが確認された. 2. PTFE膜を置かなかった群では卵巣摘出群,偽手術群共にほとんど骨の再生が認められず骨再生の観察にはGBR(骨誘導再生法)の応用が必須であることが確認された. 3. 卵巣摘出群,偽手術群の骨再生の比較では画像解析からは有意差は認められられなかったが,非脱灰標本の観察から再生骨の石灰化の程度が卵巣摘出群の方が未熟であることが示唆された. 本年度の研究計画は以上の結果に基づいて,同様に実験的骨欠損を作成し,全ての骨欠損にGBR(骨誘導再生法)を応用しPTFE膜をおき,半数にパルス電磁場刺激を与え残り半数を対照として骨欠損修復の促進について検討した.パルス電磁場刺激は1日4時間,パルス幅25μ sec,周波数100Hzで磁場強度を0.2mT,0.3mT,0.8mTとした.その結果磁場強度0.8mTでは骨形成促進効果は認められなかったが,磁場強度0.2mT,0.3mTでパルス電磁場刺激を与えた群の方が対照群より画像解析で骨再生率が高く,また非脱灰研磨標本の観察で旺盛な骨改造像を呈しており,パルス電磁場刺激が骨欠損の修復に有効であることが示唆された.
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