研究概要 |
平成9年度の研究計画ではCTとMRIに共用できる標点治具の考案が目標であったが,MRIは委託撮影のため,まず大学保有の設備のCT画像を三次元的に位置あわせする方法について検討した.考案した標点治具は,標点部,アーム,連結部,上顎歯列シ-ネ,咬合面テンプレートの5つからなる.標点部のアルミニウム管は,写し込まれた管の断面像から管の断端の位置を標点座標として幾何学的に算出するために,1本がフランクフルト平面に垂直に,もう1本が約30度傾斜するように2本1組として3カ所に設置した.次に,治具と乾燥頭蓋をアクリル台に固定し,フランクフルト平面を基準とした位置(A位置)と,3度傾けた位置(B位置)をスライス厚2mmスライス間隔1mmでそれぞれ10枚づつ撮影し位置あわせを行った.10枚のうち2枚の画像から3カ所の標点座標の位置を算出し標点1・標点2・標点3とした.位置あわせはA位置とB位置の対応する3つの標点座標を重ね合わせて行うが,読みとり誤差を含むために各標点座標は正確に一致することはない.そこで,A位置の標点1・標点2・標点3の重心とB位置の標点1・標点2・標点3の重心とを,原点上で重ね合わせて,A位置の標点1とB位置の標点1の距離と,A位置の標点2とB位置の標点2の距離と,A位置の標点3とB位置の標点3の距離の和が最小になるように,X・Y・Z軸回りに回転させて三次元的に位置あわせを行った. その結果,標点座標の幾何学的な算出で位置あわせの際の標点座標のズレは0.9mmにすることができた.また,この方法で位置あわせしたときの顆頭の構築像ズレは約0.5mmにできた.以上より本法は位置あわせに有効な方法といえる.また,この方法はMRIの重ね合わせにも応用できると考える.
|