Open-close-clench cycleにおいて認められる、開口に先行する開口筋活動が、咬合接触点の違いによってどのように変化するかを観察するため、以下のような実験を行なった。 顎口腔系に異常を認めない正常有歯顎者を5名選択し、各被験者ごとに実験用下顎スタビライゼーション型オクル-ザルスプリントを製作した。前歯部にMKGのマグネットを装着するため、前歯部は覆わず、臼歯部咬合面のみを覆った形とした。スプリントを口腔内に装着し、上顎臼歯部の機能咬頭が左右均等に接触するよう調節した。スプリントの高さは、各被験者の安静空隙の高さとし、あらかじめMKGを用いて調節した。被験運動は、リズムを規定しないopen-close-clench cycle(OCC)とし、スプリントを装着しない状態で20ストロークのOCCを2回行なった。その後、スプリントを装着して、臼歯部機能咬頭が全接触した状態でのOCCとそのスプリントを両側第1小臼歯、第2小臼歯、第2大臼歯、左側第1大臼歯の順で削除してゆき、それぞれのスプリントでのOCCを20ストロークずつ2回行なった。OCCのリズム、咬合相の咬みしめ力は各被験者の任意としたが、できるだけ同じ程度のスピード、力で行なうように指示した。筋電図は、右側咬筋(Mm)、顎二腹筋前腹(Dig)、外側翼突筋下頭(Lpt)から、Mm、Digについては表面電極、Lptについてはfine wire electrodesを用いて双極誘導し、MKGを用いた下顎切歯点運動記録とともにデータレコーダに同時記録した。すべてのデータは、記録紙に再生し、現在、開口に先行するLptおよびDigの先行時間と、開口量、筋電図積分値等の計測、分析を行なっている。
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