研究概要 |
末梢血を採取し、Ficoll-Isopaque比重遠心法により分離した単核細胞からリドカイン剥離法を用いて単球を分離し、この分離単球をMEM(minimum essential medium)培地で細胞数を1×10^6cell/mlに調整し、実験試料とした。 直線偏光近赤外線照射装置は東京医研製HA-550を用い、照射のためのプローブは可視光線域のみを偏光化するものを東京医研に依頼し、特別に作製し、使用した。直線偏光近赤外線照射は180mW放射束では培地の上昇を認めたため、130mW放射束とした。照射時間は0分、15分、30分の3群とした。一酸化窒素(NO)測定装置はインターメディカルNO-501を用い、NO電流値をreal timeで24時間測定した。 LPS0.1μg+INFγ1,000uにより分離培養細胞を刺激し、3群においてNO電流値の変化を観察したところ、3群間に有意な差は認められず、直線偏光近赤外線の照射は分離単球培養細胞のNO産生能には影響を与えないことが明らかにされた。 顎関節症患者や慢性関節リウマチ患者において、直線偏光近赤外線の顎関節部皮膚への照射により運動時痛や圧痛等の症状の改善を多数経験しているが、近赤外線照射の作用機序においてNOとの関連性は少ないことがin vitroの実験では推測された。しかし、単球試料は顎関節組織と直接的に関連があるわけではないので、顎関節症患者の滑膜細胞の分離培養に成功したので、来年度はこの滑膜細胞への直線偏光近赤外線照射の影響を検討する。
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