口腔扁平苔癬は、皮膚および口腔粘膜に小丘疹を生じる慢性炎症疾患であるが、その原因は不明であり、従来より免疫反応、特に細胞性免疫の関与が示唆されている。近年、皮膚や口腔粘膜における上皮細胞が免疫反応に積極的に関与していることが明らかになり、口腔粘膜においても上皮細胞が種々のサイトカインを産生放出していることが報告されている。今回、口腔扁平苔癬の発症と進展過程におけるサイトカインの関与を明らかにすることを目的として本研究を企画し現在のところ以下の結果が得られた。 鹿児島大学歯学部附属病院口腔外科外来を受診し、臨床的ならびに病理組織学的に口腔扁平苔癬と診断された患者の生検組織を用いて、酵素抗体ABC法と金コロイド法によりIL-1α、IL-1β、IL-3、IL-6などの各種サイトカインの組織局在を免疫走査電子顕微鏡法により検索の結果、病変部の上皮細胞にはIL-1、IL-4、G-CSFなどの局在が認められたほか、上皮下浸潤細胞には、IL-6の局在が観察された。 今後はさらに症例を増やして検索していく予定である。
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