MRIにより非復位性関節円板前方転位と診断され、スプリント等の保存療法が奏効しない顎関節内障15例に対して、上関節腔洗浄療法施行時に関節内圧を測定し、臨床所見との比較検討を行った。 22G注射針にて患側顎関節の上関節腔に穿刺し、1%リドカインを1mlおよび2ml注入した際の関節内圧を、血圧トランスデューサーにて測定した。その後、第二穿刺を行い。通常の洗浄操作および細口径関節鏡にて鏡視した。 今回の研究の結果は以下の通りであった。 1.上関節腔の内圧はリドカインを注入直後にピーク値に達し、経時的に減少した。 2.リドカイン注入後の上関節腔内圧のピーク値は、以下の通りであった。 (1)1ml注入では218.0±158.9mmHg(最低が45mmHg、最大が491mmHg)。 (2)2ml注入では330.1±159.5mmHg(最低が142mmHg、最大が579mmHg)。 3.上関節腔内圧はクローズドロック期間が長い開口障害例で高い傾向がみられた。 4.関節鏡視所見では5例に軽度から中等度の線維性癒着が認められたが、上関節腔内圧との関連性は明らかではなかった。 今後、リドカインの注入量、注入法に関し、様々なパターンの検討と上関節腔洗浄時の圧の測定を行い、上関節腔内圧と顎関節腔内の状態との関連性を見い出したい。
|