研究概要 |
本研究ではウイルス培養のための感染細胞として大日本製薬株式会社より購入したVero細胞を使用している.研究前段階としてVero細胞の単層培養法および凍結保存法を習得し,研究に供した. 口腔単純ヘルペスウイルス臨床分離株の採取に関しては,事前の予想より疱疹性口腔粘膜疾患症例が少なく,苦慮している状況である.現在,臨床的に単純ヘルペスウイルス感染が疑われ粘膜の器質的変化が認められてサンプリングに供した症例は,35歳女性の口唇炎,32歳男性の口唇炎,8歳女児の疱疹性歯肉炎の3例である.これら3例の病変部局所から綿棒を用いてswabし検体を採取した(口唇炎2例は痂皮を剥離し痂皮下粘膜面をswab,疱疹性歯肉炎は潰瘍面をswab).使用した綿棒は非働化仔牛血清20%含む輸送培地中で混和攪拌し,-80℃で実験当日まで凍結保存した.実験当日に解凍融解し低速遠心の後,その上清をVero細胞単層培養に接種してウイルスの分離を試みている.3検体ともに継続培養しているが,現在のところウイルスの存在を示す細胞変性効果が認められず,1例目は5回,2例目は3回,3例目は2回の盲継代をおこなっている(1998年2月1日現在). 細胞変性効果が確認されたなら,順次,ウイルスの同定,アシクロビルに対する感受性試験と進めてゆく予定です.また,併行してサンプリング症例も集めてゆく予定です. 本研究における被試験薬である抗ウイルス剤アシクロビルは日本ウエルカム株式会社より,現末(Lot.283308A)の提供を受けた.
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