【測定方法】 全身麻酔下にて顎間固定を伴う下顎骨後退術を行った患者8名を対象とした。被験者にはあらかじめ研究の主旨を説明し同意を得た。 鼻呼吸および口呼吸を別々に測定できるよう試作したマスクと呼吸モニターカプノマックウルティマを用いて、手術前日および全身麻酔覚醒後に鼻呼吸および口呼吸の有無を測定した。全身麻酔終了後、鼻呼吸が認められた症例では、鼻呼吸経路を閉鎖した。また、顎間固定後に口呼吸のみが認められた症例では、口呼吸経路を閉鎖した。それぞれの呼吸経路を閉塞した時の胸部および腹部の運動をストレインゲージ式呼吸ピックアップを用いて記録した。 【測定結果】 術前および全身麻酔後の呼吸経路は、(1)術前および顎間固定後ともに鼻呼吸のみであった者4例(N→N群)、(2)術前は鼻呼吸のみがみられ固定後鼻呼吸をと口呼吸行っていた者3例(N→NO群)、(3)術前に鼻呼吸と口呼吸がみられ、術後に口呼吸のみであった者1例(以下NO→O)であった。 各群における、それぞれの呼吸経路を閉塞させた時の胸部および腹部の運動は、N→N群では、鼻呼吸経路の閉塞によって胸部および腹部の運動に大きな変動は見られなかった。N→NO群では、鼻呼吸経路閉鎖により呼吸運動が不規則となったが、鼻呼吸経路の閉鎖を解放すると規則的な運動にもどった。NO→Oでは、口呼吸経路の閉塞により腹部および胸部の運動が著しく抑制された。 【結論】 顎間固定を行った全身麻酔後に口呼吸が関与している症例では、確実な気道確保が行えるよう呼吸管理に特に注意が必要である。
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