研究概要 |
本研究の目的は下顎骨骨髄炎,即ち炎症部位における血流動体及び血管の分布,組織学的な構造の変化を明確にすることによりそれを臨床応用することによって治療法の決定に重要な情報を得ることにある.本年度は骨髄炎モデルの作成に先立ち本研究計画・方法における2),コントロールモデルの作成をおこなっている.材料及び方法はNew Zieland White種家兎,雄,体重3kg,をpentobarbital sodium全身麻酔下にて両総径動脈を剖出しこれよりRinger液により頭部を灌流,外頸静脈より脱血,ついで2.5% glutaraldehyde(01 M phosphate buffer pH7.4,4℃)で灌流固定をおこなった.次いで顎動脈を剖出,確保した後,下歯槽動脈へ注入用カニューレを挿入し,直ちに毛細血管注用樹脂(大日本インキ社製:Mercox)を注入した.樹脂硬化後,下顎骨を剖出,切断.各々10%HCLで脱灰(3〜4日間)後20%KOH溶液(4〜5日間)と湯洗浄(40℃)を交互に繰り返し,軟組織を除去し血管鋳型のみとし次いで凍結乾燥し試料を作製した.また光顕用組織標本として,同様に灌流固定後,両総頸動脈より10%ゼラチン含有墨汁を注入し.摘出した下顎骨5%蟻酸ホルマリン溶液によって脱灰後パラフィン包埋HE染色をおこない光顕用標本とした.今後の実験方針としては酒井の報告における炎症時の歯髄腔外の血管形態の変化の実験結果と本実験との関連性を考慮し実験計画1)の骨髄炎モデルを作製しその組織学的変化を観察し観察部位の検討,同部の変化について観察する予定である.
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