本研究の目的は、静止像を撮影する断層X線撮影と動態を撮影するX線テレビを用いた顎関節の造影撮影を比較し、関節円板の動態と各顎関節症型分類との関連性について検討を行うものである。 今年度の、研究計画に基づき当施設顎関節症初診患者のうち了解の得られた者から単純X線撮影(パノラマX線写真・シューラー氏法撮影・オルビトラムス)を行った後、断層X線撮影装置東芝メディカル製造株式会社TF-10ML-3を用いて断層X線撮影を行い、開口時・閉口時の状態を撮影した。ついで、X線テレビ撮影装置、東芝メディカル製造株式会社KXO-80Nを用い、上下顎関節腔に造影剤を注入し、顎関節造影撮影を行い開閉口運動時・側方運動時・咀嚼運動時の下顎頭および関節円板の動態(正面・側面)を録画した。 以上より得られた資料を基に診断を行い、各症例に対して顎関節症の治療を開始した。 また検討方法に基づき、断層X線撮影により得られたX線写真をカラーイメージスキャナー(EPSON社製GT-9000)を用いて読みとりコンピューター(Apple Computer社製Power Macintosh 9500)を用いて画像を記録しコンピューター上で以下の項目(1)開口時・閉口時の下顎頭と関節窩の位置関係(2)下顎頭の形態的異常(骨変化の有無)(3)関節円板の位置(4)関節円板の形態について症例別に画像を保存。また、X線テレビを用いた顎関節造影撮影により得られた映像をコンピューターを用いて映像を読み込み、開閉口運動を各段階(閉口時・開口初期・疼痛発現時・Click発現時・関節円板前方転位時・開口後期・最大開口時・閉口初期・関節円板復位時・疼痛消失時・閉口後期等)に分類し各段階における関節円板の状態を確認した。 今後、関節円板の状態が治療によりどのように変化してきたかを確認するため、治療終了群から同様に資料を採取し、比較検討を行っていく予定である。
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