研究概要 |
本研究は,顎関節症の診断に繁用されるMR画像検査が,構造や組織変化をどのように描出していくかを解明すべく、系統解剖実習用屍体を用いMR画像と組織切片とを比較検討し、その後に組織切片を立体構築することによって構造変化の観察および検討を目的としている.現在,解剖学教室が保存している系統解剖実習用屍体を無作為に抽出し,MR撮影を行い所見の収集を行っている.これまでに50体100関節のMR撮影を行った.片側顎関節の抽出が不良にて観察困難であったものを2体認めた.下顎頭矢状断画像における骨変化の有無,関節円板の形態や位置についての所見を検討中である.これまでの結果では,下顎頭における骨変化を20関節(20%),関節円板の転位を25関節(25%)において認めている.関節円板の転位については25関節に認められ,前方転位が最も多く18関節であった.個体でみてみると,両側とも円板転位を認めたもの9体,片側に円板転位を認めたもの6体であった.MR撮影を行ったものの一部については組織切片の作製を開始している.切片作製に先立って,X線透視下にて下顎頭長軸に平行となるようカニューレ針を2本挿入した.組織切片の作製が終了次第,平成9年度予算で申請し,購入済みのフィルムスキャナーにてコンピュータに取り込み,カニューレ針を基準に顎関節の3次元的な再構築を試みる予定でいる.
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