本研究では、骨細胞を用いて、メカニカルストレスに対する骨組織の応答と、細胞間ネットワークを形成するギャップ結合の機能との関わりについて明らかにすることを目的としている。まず、骨細胞の分離法の取得を試みた。16日齢ニワトリ胚を用い、その頭頂骨を取り出した。骨膜を除去し、比較的骨細胞が多いと思われる部分のみを残すように、トリミングを行った。コラゲナーゼ処理をおこなって、頭頂骨表面の細胞を取り除き、類骨骨細胞を多く含む骨片を得た。次にEDTA処理にて骨小腔を拡大させ、さらに再度コラゲナーゼ処理をおこない、骨片から骨細胞を分離した。フィルターを通すことにより、比較的大きいストローマ細胞を除き、骨細胞が多く含まれる細胞浮遊液を得ることができた。さらにdishへの接着性の差を利用して、より純度の高い骨細胞を分離した。その結果、純度80〜90%で、ニワトリ骨細胞を得ることが可能となった。そこで次に、分離された骨細胞が、実際に細胞間コミュニケーションをもっているのかどうか、レーザーサイトメーター[ACAS Ultima]を用い検討した。まず、骨細胞に、蛍光色素である、5-(and-6-)carboxyfluorescein diacetate(CFDA)を取り込ませた。任意細胞のCFDAをレーザーにて消光し、隣接する細胞からのCFDAの流入に伴う蛍光強度回復速度を測定・分析した。そして、CFDAが実際に細胞間を移動していることから、この分離された骨細胞は、互いに細胞間コミュニケーションをもっていることが明らかとなった。 今後、分離骨細胞にメカニカルストレスを付与することにより、細胞間コミュニケーションがどのように変化するか、さらに、その際、骨細胞のギャップ結合の主要な構成蛋白質であるコネクシン43の発現量がどのように変化しているか、詳細に検討していく予定である。
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