研究概要 |
1) 骨芽細胞はヒト正常皮質骨より、破骨細胞はマウス由来骨髄細胞に1,25(OH)_2D_3を添加して採取した。 2) 力学的刺激:500から1500回転の遠心力を12時間ごとに20分間負荷した。 電気的刺激:0から7ガウスのパルス電磁場を連続的に負荷した。 3) 細胞のmRNAを抽出し、ノーザンブロッティング法で各種細胞内情報伝達物質のmRNAの同定を試みた。 4) 骨芽細胞の評価:ALPase活性、BGP産生能を測定し、分化過程を評価した。さらにVon Kossa染色を施し、石灰化量を測定した。 破骨細胞の評価:TRACP染色を行いその形成数を測定し形成能を評価した。さらに破骨細胞をdentine slice上で培養してその吸収窩を染色し、吸収面積を測定した。 5) 結果ならびに考察:遠心力負荷により、骨芽細胞のALPase活性、BGP産生能は強度依存的に上昇したが、石灰化能に顕著な変化は認められなかった。また、破骨細胞形成能と吸収能にも変化は認められなかった。パルス電磁場負荷により、骨芽細胞のALPase活性は強度依存的に上昇したが、BGP産生能は抑制された。骨芽細胞の石灰化能ならびに破骨細胞の形成能と骨吸収能は、わずかに上昇する傾向が認められた。パルス電磁場を負荷した骨芽細胞にindomethacinを添加すると、濃度依存的に反応性が減少した。しかし、Calphostin Cには反応しなかった。以上より、物理的刺激は、骨芽細胞の分化を促進すること、この反応にprostaglandin産生が関与しており、protein kinase Cは関与していないことが示唆された。この系を検証するため細胞内情報伝達物質のmRNAを抽出したが、細胞数の不足から、同定には至らなかった。Prostaglandin産生が関与していたことから、骨芽細胞を介して破骨細胞に作用している可能性も示唆された。両刺激により骨芽細胞が異る反応性を示したことから、反応経路が異る可能性も示唆された。 6) 本研究の一部は、The 3rd Asian-Pacific Orthodontic Conference(1998.11.21〜24)において発表した。
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