研究概要 |
ラット上顎切歯のエナメル芽細胞を3分割に剥離し、歯胚側からそれぞれ基質形成期,成熟期前期,および成熟期後期とし,それぞれの細胞層からtotal RNAを回収した。このtotal RNAをテンプレートとして,下流アンカープライマー(VT15,V:A,G,orC)を用いた逆転写反応を行い,次いで上流プライマー(20-21mer)を添加しPCRを行った。得られたPCR産物をポリアクリルアミドゲルで展開,銀染色した後,3つの細胞分化段階で産生量の違いが見られるバンドのDNAのシークエンスを行った。その結果,幾つかの興味深いクローンを得ることが出来た。(3種類の上流プライマーを用い,次のようなタンパク質をコードする遺伝子とホモロジーの高い遺伝子断片が単離できた。分泌期:ヘパリン結合増殖因子2(ホモロジー58%),フィブーリン2(60%),ウロキナーゼタイププラスミノーゲンアクチベータ-受容体(72%),ad-1抗原(98%),成熟期前期:チトクロームp450(76%),膜コファクタータンパク質(66%),成熟期後期:トランスフェリン(73%),LIMタンパク質(80%))現在,これらのクローンをRT-PCR法を用いてエナメル芽細胞に時期特異的に発現していると考えられるPCR産物をスクリーニング中である。 今後,これらのクローンをin situハイブリダイゼーション法,ノーザンブロット法を用いてさらにスクリーニングし,最終的に特定のクローンの全長シークエンスを解析する。
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