口腔診査票(歯の状態、歯周組織の状態、口腔清掃状態、義歯の状態等)およびアンケート用紙(社会的背景、口腔保健行動、食生活、食品摂取、日常の生活態度および満足度等)を作成し、事前調査を行った。調査対象者は千葉市および千葉市近郊在住の在宅健常者107名であり、自宅で通常の生活を営んでいる60〜89歳の者である。「食べ物がよく噛めるか」の質問に関しては53.3%の者でよく噛めると回答していたのに対して、実際の食品(28食品)を挙げて質問したところ食品によって97.2〜24.5%までの範囲がみられた。とくに「たこ刺し身」(42.1%)、「するめ」(24.5%)、「たくあん」(45.7%)の3食品についてはその値は一般的な質問よりも低くなった。また食品摂取受容(食べ物がよく噛めるか)と口腔保健行動との関連を検討したところ、噛めると答えている者の36.4%、噛めないと答えている者の17.6%が3分以上歯を磨いており(p<0.05)、噛める者の42.1%、噛めない者の61.2%が過去1年間に1回以上歯科医院に通院しており(p<0.1)、さらに噛めると回答した者の78.9%、噛めないと回答した者では58.0%がかかりつけの歯科医があると回答していた(p<0.05)。このように食品摂取受容は口腔保健行動、とくに受療行動と関連があることが示唆された。今後さらに口腔内所見、口腔内の自覚症状、生活の態度および満足度との関連を検討する。さらに主観的な咀嚼効率だけでなく、客観的な測定方法についても検討しており、本調査においては調査を行う予定である。
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