研究概要 |
1.原因遺伝子の存在する染色体の特定 樋状根を有するC57L/Jと樋状根出現が全く認められないC57BL/6Jマウスの交配実験から得られたbackcrossマウスの中で、樋状根が認められた25匹を試料として研究を行った。試料とした25匹のDNAをpoolし、DNA pool PCR法から、染色体5,8,15,17および19番でlinkageを疑う結果が得られた。さらにInternal mappingのためのSSLPマーカーを検出し、linkage解析を行ったところ染色体5および15番が候補染色体である可能性が示唆された。 2.Candidate geneの特定(特にマウス染色体5番についてのlinkage解析) マウス染色体5番上には、歯の形態形成に重要な役割を演じているMsx1遺伝子やBmp3遺伝子、FGF3のreceptor遺伝子が存在することから、backcross25匹の各サンプルの遺伝子型タイピングを行い、candidate geneの特定を試みた。SSLPマーカーの1つであるMitマーカーのうち、多型性を示す有用なマーカーの検出を行った。120個のマーカーの中から13個の有用なマーカーが検出できたことから、これらのマーカーを用いて樋状根を有するbackcross各サンプルの遺伝子型タイピングを行ったところ、染色体ポジションが約60cM付近のD5Mit161、D5Mit427およびD5Mit166で強い連鎖が認められた。これらの結果から、現在のところ樋状根成因に強く関与する遺伝子の1つが染色体5番に存在する可能性が考えられた。マスス染色体5番の約48cM付近にはBmp3が存在することから、今後candidate geneの1つとして捉え、詳細なlinkage解析を進めていく予定である。
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