樋状根を有するC57L/Jと樋状根が全く認められないC57BL/6Jマウスの戻し交配(C57L/JxC57BL/6JXC57BL/6J)から得られた66匹を試料として用いた。マウス常染色体上に存在するSSLPマーカーの一つであるMitマーカー約800個の中から2系統間に多型性を示すマーカーをアガロース電気泳動にて検出し、すべての染色体上に約20cM間隔で3〜4個の有用なマーカーを設定した。戻し交配マウスすべての遺伝子型タイピングを行なったところ、染色体5、8、17番が有力な候補染色体となることが示唆された。歯の発育初期の上皮-間葉系相互作用に重要な役割を演じている遺伝子が多く存在する染色体5番に注目し、樋状根出現の有無を表現型として、19個のMitを用い詳細な連鎖解析を行なったところ、D5Mit161(expectation:nonexpectation=42:24、x^2=4.91、p<0.05)、D5Mit29、321および427(expectation:nonexpectation=41:25、x^2=3.88、p<0.05)で強い連鎖を示す結果が得られた。D5Mit161、29、321および427は、染色体5番の動原体より約70cM付近にマップされており、この領域に候補遺伝子の存在する可能性が疑われた。今後、近傍に位置するBmp3、Dmp1、Ycf1ならびにPedfa遺伝子の構造解析を行なっていく予定である。
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