研究概要 |
健全なヒト第一小臼歯から採取、培養した歯根膜細胞に、Flexercell strain Unitにて周期的伸展力(18%elongation,6 cycles/min.)を1〜5日間加え、実験群にはGa-Al-As半導体低出力レーザー照射を1日1回、10分間(36J)および20分(72J)、1〜5日間行った。歯根膜細胞に周期的伸展力を1〜5日間加えた時、PA活性は3、5日間において対照群に比べて約2倍増加した。さらに、周期的伸展力を加えて低出力レーザー照射を1日1回、10分間行った実験群では周期的伸展力により増加したPA活性が3日目で58%、5日目で89%抑制された。次に、3日間周期的伸展力を加え、レーザー照射を1日1回、10分および20分1〜3日間行うと、周期的伸展力により増加したPA活性が10分照射で55%、20分照射で86%抑制された。このことから、レーザー照射によるPA活性の抑制効果はレーザー照射濃度依存的であることがわかった。次に、PAI活性を測定したところ、対照群、レーザー照射群、伸展群、伸展+レーザー照射群とも1〜5日まで経日的に増加したが、4グループ間に有意な差は認められなかった。このことから、レーザー照射によるPA活性の抑制効果にPAIは関与していない可能性が示唆された。さらに、RT-PCR分析により遺伝子発現を検討したところ、3日間周期的伸展力により増大したtPAの発現はレーザー照射により対照群レベルまで抑制され、PAI-1の発現に変化は認められなかった。以上のことから、周期的伸展力により増加したPA活性のレーザー照射による抑制効果は、tPA遺伝子の発現を抑制することによるものであることが示唆された。 現在、この実験系にインドメタシン、IL-1β抗体を加え、周期的伸展力により増加したPA活性のレーザー照射による抑制効果とPGE_2やIL-1βとの関連性について検討中である。
|