機械的外力を顎関節部に加えた場合、軟骨組織の反応は軟骨自身の反応に加えて、周囲の結合組織・骨組織からの液性因子を介した反応によって修飾された結果と考えられる。顎整形力が関節軟骨に作用したときの状態をin vitroで再現するために、まず軟骨組織を単離し、軟骨細胞に対するメカニカルストレスの影響を検討することを目的として以下の実験を行った。 体重400g前後の雄性New Zealandウサギの膝関節より採取した軟骨組織を酵素処理によって分散し、マルチウェルに播種した。培養液には10%ウシ胎仔血清添加Dulbecco's Modified Eagle'sMediumを用いて、2日毎に交換した。この方法によって得られる細胞はグリコサミノグリカン合成能を有するため、軟骨細胞に特異的な性質を示すと考えられる。細胞播種後、confluentになってから細胞に遠心力を負荷した。マルチプレートを遠心機にかけて500-1500rpm、37℃、20分間、気相下で回転させることによって細胞に遠心力を負荷する。この遠心力負荷操作を12時間毎に計6回行い、72時間目に培養を停止し、コラーゲン合成およびプロテオグリカン合成能を測定した。コラーグン合成は細胞をホモジュナイズした後にポリアクリルアミドゲルに流してtypingを行った。プロテオグリカン合成能は培地に[^<35>S]H_2SO_4を添加して培養した後に、cetylpyridiniumchloride不溶性画分に取り込まれた放射活性を測定することによって検討した。Type IIコラーゲンの産生を認めたが回転数に応じた産生量の変化は認められなかった。回転数500rpmと1500rpmを比較すると、プロテオグリカン合戒能は500rpmの方が高い傾向を認めたが回転数に依存的な反応性は認められなかった。
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