本研究の目的は、従来主観的な方法に頼っていた唾液中の細菌検査の培地を分析・判定する方法について客観的評価法を開発することである。 前年度は、フィルムスキャナにて画像をコンピュータに取り込み、市販の汎用画像処理ソフトウェアを用いて分析することを試みた。その結果、取り込む画像は白黒256階調で十分であると思われたが、培地の特性によっては色で判断した方が分析・判定において精度の高い場合もあると考えられ今後の課題となっていた。 今年度はそのような意味からも実際に人間が培地のスコアを判定するときのばらつきや、どのようなものの判定が判定者間で一致しづらいのか、またそのばらつきは判定者の熟練度や知識にどの程度左右されるのかなどを調査した。培地を口腔内写真撮影用のカメラで撮影し、プリントしたものを複数の判定者に判定させた。結果として判定者によるばらつきが明らかとなり、判定者間でのキャリブレイションの必要性が示唆された。また、判定者間の一致率が低い培地や、判定されたスコアが3段階にわたる培地は、特に判定が困難であるものとした。判定が困難であるものはスコア「1」のものが多かった。 今後は、上記の実験に判定者間のキャリブレイションや今回開発している客観的方法も加えて主観的方法との結果の比較を行い、客観的評価法の特性についても明らかにするとともに、判定が困難であるとした培地について客観的方法を用い色調やコロニーの特徴を明らかにしていく予定である。
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