研究概要 |
本研究では、渦鞭毛藻Amphidniumspより単離した殺細胞活性を示す新規27員環マクロリド・アンフィジノリドLについて、酸化開裂フラグメントの立体異性体を合成するとともに、関連化合物であるアンフィジノリドBの全合成研究の一環として、C-1〜C-13セグメントの合成研究を行った。 1) これまでの研究において、アンフィジノリドLの4個の不斉炭素の絶対立体配置(21R、22S、23R、25R)を決定しているが、残る6個の不斉炭素の絶対立体配置は未決定であった。アンフィジノリドLの全立体配置を解明する目的で、(R)および(S)-3-ヒドロキシイソ酪酸メチルを出発原料として、t-BuLiを用いたクロスカップリング反応を鍵反応として、16位、18位、20位の不斉炭素を含むC-15〜C-26フラグメントの可能な8個の異性体のうちひとつのジアステレオマーを合成した。 2) 8位、9位、11位の不斉炭素を含むアンフィジノリドLのC-1〜C-147ラグメントに関しては、C-1〜C-6フラグメントとC-7〜C-14フラグメントとのWittig反応によるカップリングを鍵反応として、可能な2つの異性体を合成した。アンフィジノリドLとNMRデータを比較することにより、8位、9位、11位の相対立体配置は、8R^*、9R^*、11R^*であると推定した。 3) アンフィジノリドBのC-1〜C-13セグメントの合成研究において、1,4-ブタンジオールを出発物質として、4工程でC-3〜C-7セグメントを合成した。一方、(2S,4S)-2,4-ペンタンジオールを出発物質として、Sharplessの不斉エポキシ化反応を用い、13工程でC-8〜C-13セグメントを合成した。C-3〜C-7セグメントとC-8〜C-13セグメントをカップリングし、5工程でC-1〜C-13セグメントを合成した。
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