研究概要 |
ペル-伝承民間薬「Una de gato(ウ-ニャ・デ・ガト)」(猫のつめ)の基源植物はアカネ科Uncaria tomentosaであることが明らかにされている。この生薬についてはすでにドイツ、イタリアなど多くの研究者によって含有成分の研究が行なわれているが、その有効成分の解明には至っていない。当研究室には各種Uncaria属植物についての研究ノウハウの蓄積があり、また含有成分のライブラリーが整っているのでこれを利用してこの注目すべき南米民間薬成分の研究を行うこととした。 輸入業者を通じて入手したUna de gato385gをメタノールにて熱抽出し、メタノールエキス約100gを得た。これを各種クロマトにより精製を行い、現在までにアルカロイド類、トリテルペン類など既知化合物9種とともに新規化合物3種を得た。アルカロイドとしてはヘテロヨヒンビン型オキシインドールのUncarine F,Isopteropodine,Pteropodineなどを単離した。またβ-carboline骨格を持つLyalosideを本植物からははじめて単離した。既知のトリテルペンとしては、ウルサン型トリテルペン2種、ウルサン型配糖体トリテルペン2種ならびにオレアナン単離配糖体トリテルペン1種を得た。さらに新規化合物として、ウルサン型トリテルペンの6位がケトンとなった化合物2種と、13-14位に二重結合を有するオレアナン型トリテルペンの3位水酸基に糖がエーテル結合し、17位のカルボン酸に糖がエステル結合した化合物を単離し、各種スペクトルによりその構造を検討中である。 単離した化合物については今後薬理試験に供する予定である。
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