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1998 年度 実績報告書

放射菌ポリケタイド系配糖体抗生物質の合理的分子設計とその生産

研究課題

研究課題/領域番号 09771898
研究機関東京大学

研究代表者

市瀬 浩志  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (40282610)

キーワード天然有機化合物 / 生合成 / ポリケタイド / 抗生物質
研究概要

芳香族ポリケタイド抗生物質としてベンゾイソクロマンキノン(BIQ)系のグラナティシン(GRA)及びアクトノロジン(ACT)を取り上げ、その生合成遺伝子の機能の推定と同定、特に立体化学を制御する遺伝子の同定を行った。
前年度はGRA生合成遺伝子クラスター(The gra cluster)を生産菌であるStreptomyces violaceoruber Tu22の染色体よりクローニングすることに成功し、その全遺伝子配列を決定し、遺伝子産物の機能の推定を進めてきた。化学構造上、GRAと同じChromophoreであるBIQ骨格を有するACTの生合成遺伝子クラスター中で立体化学の制御に関与すると推定された、actVI-ORFl及びORF2と明らかに相同性の高い遺伝子はcluster中には見い出されなかった。これは、GRAとACTの立体学の相違に起因していると考えられる。一方、ACT生合成中での立体化学の制御にacNI遺伝子が関与していることを証明するために、放線菌発現用プラスミド、pRM5誘導体にて対象遺伝子を発現 せたところ、actVI-ORFlの産物が立体特異的な還元酵素として機能していることを見い出した。この種の還元酵素はco-factorとしてNAD(P)Hを要求することから、GRA生成における立体化学の制御においてもヌクレオチド結合モチーフを有する還元酵素がが関与しているはずである。実際、この様なモチーフを有する遺伝子産物を与えるORFでデーターベース上での相同性検索からは推定構造不明のORFがgraクラスター中に存在し、現在、ACTで行った実験系を利用してさらに機能解析を進めている。
BIQ生合成には、基本炭素骨格形成に関わるポリケタイド合成酵素の他、立体化学の制御、糖質変換過程が含まれている。有用物質の生産系を遺伝子レベルから構築する上で、各種構造遺伝子を取得しその機能解析を進めていくことは必須の課題であり、本研究課題で得られた結果により所望の研究展開に向け大きく端緒を開いたと考えられる。今後、さらに得られた遺伝子の機能解析を進め、構造上より多様な分子設計への展開を進める予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Koji Ichinose: "Biosynthetic Gene Clusters of Benzoisochromanequinone Antibiotics in Streptomyces spp.-Identification of Genes Involved in Post-PKS Tailoring Steps-" Actinomycetologica(日本放射菌学会誌). 12(2). 99-109 (1998)

  • [文献書誌] Koji Ichinose: "The Granaticin Biosynthetic Gene Cluster of Streptomyces violaceoruber Tu22:Sequence Anaylysis and Expression in a Heterologous Host." Chemistry & Biology. 5(10). 647-659 (1998)

  • [文献書誌] Koji Ichinose: "Proof that the actVI Genetic Region of Streptomyces coelicolor A3(2)is Involved in Stereospecific Pyran Ring Formation in the Biosynthesis of Actinorhodin." Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 9(3). 395-400 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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