研究概要 |
キヌレニン分解酵素は,トリプトファンの代謝中間体であるキヌレニンをアントラニル酸とアラニンに分解する加水分解酵素であるとともに,キヌレニンとベンズアルデヒドのトランスアルドール反応も触媒することが知られている。そこでまず著者は,Pseudomonas fluorescens(ATCC 11250)由来のキヌレニン分解酵素を用いて酵素的トランスアルドラーゼの基質特異性を検討した。その結果,α-炭素がsp^3-炭素であるアルデヒドは基質となりえず,α-位がsp^2-あるいはsp-炭素であるアルデヒドの多くは基質になりえることが明かとなった。とりわけ・フルフラールなど5員環ヘテロ芳香族アルデヒドは優れた基質であり,本酵素反応は炭素数8のγ-ヒドロキシ-α-アミノ酸を高収率で与えた。得られたアミノ酸は,D-およびL-アミノ酸オキシダーゼに対する基質特異性よりL-アミノ酸であると決定した。また主生成物のγ-位水酸基の立体は,本アミノ酸をN-Boc-オキサゾリンに誘導し,観察されるNOEよりR-配置と決定した。さらにL-アミノ酸オキシダーゼとの反応での生成物を単離したところ,期待通りγ-ヒドロキシ-α-ケト酸が得られ,KDOが持っている「カルボキシル基→カルボニル基→メチレン→R-配置水酸基→炭素数4の側鎖」という骨格の構築に成功した。
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