研究概要 |
ウリジンより短行程かつ高収率で合成可能な5'-デオキシ5'-フェニルセレノウリジンに対して、m-CPBA酸化を行ったところセレノキシドがsyn脱離を起こすことなく安定に単離できることを見いだした。その結果、Pummerer転位を行うことが可能となり、ウリジン5'-モノセレノアセタールを定量的に得た。このウリジン5'-モノセレノアセタールに対するラジカル的炭素-炭素結合形成反応を検討した結果、ラジカルアクセプターとしてスチリルトリブチルチンを用いることにより、(5'S)-C-スチリルウリジンを定量的かつ高いジアステレオ選択性(>96% de)で得ることができた。このものを種々変換した後、塩化メチレン中、室温下、フェニルセレネニルクロリドを用いる3'位水酸基との分子内オキシセレノ化反応を試みたところ、反応が6-endo-trig様式で効率よく進行して3,7-アンヒドロオクトース誘導体が86%の高収率で得ることに成功した。 しかし、オクトシルヌクレオシドは7'位にカルボキシル基を有しており、フェニル基からの変換は困難である。そこで、環化体の7'位の置換基がカルボキシル基へ変換可能な化合物を合成し、分子内オキシセレノ化反応を行うことにした。即ち、スチリル体の二重結合を酸化的に開裂して得られるアルデヒドを足がかりとして、アリルアルコール体及びスチリル体のビニローグに相当する共役ジエン体を合成し、これらについて先程と同様にフェニルセレネニルクロリドとの反応を検討したところ、アリルアルコール体の場合には反応性が悪かったが、共役ジエン構造を有する4-フェニル-1,3-ブタジエニル体では75%という良好な収率で3,7-アンヒドロオクトース誘導体を得ることに成功した。 この環化体は、各官能基の化学変換により一連のオクトシルヌクレオシドヘ誘導可能と考えられる。
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