アフリカツメガエル由来の生体防御ペプチドであるマガイニン2とPGLaをFmoc固相法で合成した。大腸菌に対する最小発育阻止濃度はいずれも50μMであったが、両者を1:1で混合したところ6μMとなり、約8倍の相乗効果が確認された。いずれのペプチドも酸性リン脂質からなる人工二分子膜に選択的に作用し膜透過性を上昇させたことから、これらは酸性リン脂質を豊富に含む細菌細胞膜の透過性を上昇させることにより殺菌効果を示すものと思われる。両ペプチドの混合比を変えて、膜透過性上昇活性を調べたところ、1:1の混合比のとき最大の活性を示した。水溶液中では両者は相互作用を示さなかったので、膜中においてのみ1:1の組成を持つ高活性へテロ超分子複合体を形成すると推定された。それぞれのペプチド単独あるいは1:1の混合物も、膜透過性上昇にともない膜脂質のフリップフロップとペプチドの膜透過が観測されたことから、基本的な作用メカニズムは同じで、膜中にペプチド-脂質超分子複合体ポアを形成することであると考えられる。ポアの寿命を測定したところ、マガイニン2が40ミリ秒、PGLaが1ミリ秒、1:1混合物が7ミリ秒であった。ポア形成速度は1:1混合物【greater than or equal】PGLa>>マガイニン2であった。したがって、高活性ヘテロ超分子はPGLaの持つ速いポア形成とマガイニン2の持つ長寿命ポアという両者の長所を合わせ持つために高い活性を発現して
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