アフリカツメガエル由来の生体防御ペプチドであるマガイニン2とPGLa脂質膜中でヘリックスを形成し、さらに相互に分子認識をして1:1の組成を持つ高活性へテロ超分子複合体を形成することにより高い相乗効果を発現することを平成9年度の研究で見いだした。そこで、次にこの高活性へテロ超分子複合体におけるヘリックスの会合様式を化学架橋法により検討した。マガイニン2のN末端にCGGフラグメントを結合したペプチド(N-MG)、PGLaのN末端にCGGフラグメントを結合したペプチド(N-PG)、およびPGLaのN末端にGGCフラグメントを結合したペプチド(C-PG)を固相法により合成した。これらは、親ペプチド同様、水溶液中でランダム構造、酸性リン脂質膜中でヘリックス構造をとった。N-MGとN-PGの1:1の混合物を水溶液中(pH9)で24時間酸化させたところ、N-MGホモダイマー、N-MG-N-PGへテロダイマー、N-PGホモダイマーが1:2:1の統計的な割合で生成した。N-MGとC-PGの組み合わせでも同様であった。この結果は、水溶液中ではマガイニン2とPGLaの間に特別な分子認識は働いていないことを示している。一方、酸性リン脂質膜存在下で、pH7、10分間酸化反応を行わせたときには、N-MGとN-PGの1:1の混合物では大量のへテロダイマーが生成したのに対し、N-MGとC-PG混合物の場合には、ヘテロダイマーが全く生成しなかった。このことは、脂質膜中でのみ両ペプチド謝こ分子認識が起こり、ヘリックスが平行に会合したヘテロ超分子複合体を形成することを示している。
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