活性酸素やフリーラジカル生成は障害性と同時に生体防御適応機構において重要な役割も果たしており、定量的・速度論的知見は病態解析等に必須である。しかし、この種の知見はほとんど得られていない。そこで、本研究では生体内フリーラジカルの反応速度解析法の確立を目的とした。2年計画の初年度として、まず種々のアルゴリズムをin vivo画像化程度の低シグナルノイズ比レベル条件下、ファントムを用いて検討した。 1)ESR画像化で一般的に用いられている実空間での再構成アルゴリズムに代えて、フーリエ面での画像化を行った結果、高S/N条件では両アルゴリズムで差は見られなかったものの、低S/N条件下でフィルター処理を要する場合には、フーリエ面での処理の方が分離能が向上し、in vivo測定の場合に有用であることが示唆された。 2)画像解像度と高速画像化を両立させるためには、狭掃引幅で高磁場勾配を掛ける必要がある。そこで、forward substraction法により数学的にESRスペクトルの3本線を1本に変換して引加磁場勾配の増加を試みた。その結果、通常画像化と同時間で磁場勾配は50%程度増加可能であり画像解像度が向上した。 3)上記の手法を併用することで、画像化可能なラジカル濃度が1/2から1/4に向上した。 以上の手法を用いることで、in vivo画像化時により先鋭な画像が得られる可能性が示唆された。そこで次年度は本アルゴリズムを用いて病態モデルのin vivo画像化を行う予定である。
|