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1997 年度 実績報告書

脂肪細胞分化を誘導するインスリンの細胞内情報伝達系の解析

研究課題

研究課題/領域番号 09771961
研究機関北海道大学

研究代表者

上原 孝  北海道大学, 薬学部, 助手 (00261321)

キーワード3T3-L1細胞 / インスリン / 脂肪細胞分化 / 3量体G蛋白質 / Ras / MAP kinase / PI3-kinase / wortmannin
研究概要

3T3-L1線維芽細胞はインスリン・デキサメサゾン・IBMXの同時添加によって白色脂肪細胞へと分化することが報告されているものの、細胞分化を誘導する情報伝達系については不明な点が多く残されている。これまでに私たちは3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化が1)3量体GTP結合蛋白質の機能を消失させる百日咳毒素(PTX)の前処理によって抑制されること、2)インスリンによって活性化されるphosphatidylinositol 3-kinase(PI3-キナーゼ)の特異的阻害薬であるwortmanninの前処理によっても抑制されることを明らかにしてきた。このことから、PTXとwortmanninは細胞分化を誘導する情報伝達系を解析する上で、有用なプローブである可能性が示唆された。そこで、脂肪細胞分化へのkey factorであるインスリンの情報伝達系を調べた。PTX、wortmanninは共にインスリン刺激に伴うRasの活性化とMAPキナーゼ活性やMAPキナーゼの活性化に必須なチロシン残基のリン酸化を抑制した。この時、インスリンと同様に受容体チロシンキナーゼを活性化させるepidermal growth factor(EGF)刺激に伴うRasおよびMAPキナーゼの活性化に対しては抑制作用を示さなかった。受容体自己チロシンリン酸化反応、基質蛋白質(IRS-1)のチロシンリン酸化とPI3-キナーゼとの結合に対しては影響を及ぼさなかった。しかしながら、PTXはインスリン刺激に伴うPI3-キナーゼ活性を50%抑制した。このことから、インスリンのPI3-キナーゼ活性化機構には異なる2つの経路が存在し、1つは受容体キナーゼ→IRS-1→PI3-キナーゼ、他方は受容体→PTX感受性蛋白質、おそらく3量体G蛋白質→PI3-キナーゼを介するものであることが示唆された。したがって、PTXはインスリンによるPI3-キナーゼ活性を抑制することで、その下流に存在するカスケードを抑制する結果、脂肪細胞への分化を抑制していることが推定された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Minako Nakazawa: "Koningic acid(a potent glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase inhibitor)-induced fragmentation and condensation of DNA in NG108-15 cells." Journal of Neurochemistry. 68. 2493-2499 (1997)

  • [文献書誌] Tadashi Nishiya: "Activation of Stat 1 and subsequent transcription of inducible nitric oxide synthase gene in C6 glioma cells is independent of interferon-γ-induced MAPK activation" FEBS Letters. 408. 33-38 (1997)

  • [文献書誌] Hiromichi Fujino: "Stimulatory roles of muscarinic acetylcholine receptors on T cell antigen receptor/CD3 complex mediated interleukin-2 production in human peripheral blood lymphocytes." Molecular Pharmacology. 51. 1007-1014 (1997)

  • [文献書誌] 上原 孝: "神経精神薬理 脳虚血ストレスに対する脳細胞応答機序" 星和書店, 6 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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