研究概要 |
ヒトCYP2C9, CYP2C18及びCYP2C19発現酵母を培養し、それらの酵母ミクロソームより各P450タンパクを精製した。各20リットルの培養液より、精製CYP2C9として30nmol,精製CYP2C18として28nmol、及びCYP2C19として14nmolを回収した。 1000gのラット肝臓ミクロソームより120nmolのP450還元酵素を精製した。 dilauroylphosphatidylcholine/cholesterol(モル比2 : 1)より小型一枚膜リポソームを作製し、先の精製P450タンパク及びP450還元酵素をモル比(リポソームは構成脂質のモル数で換算)50 : 1 : 1で混合し、コール酸またはデオキシコール酸を対脂質モル比0.5となるよう加えてリポソームを可溶化した。この段階でP450のCO差スペクトルは可溶化前とほぼ変化はなく、P450還元酵素活性にも変化は認められなかった。続いて上記の混合液を界面活性剤吸着ビーズ(biobeads SM2)を加えたリン酸緩衝液中で透析した。コール酸を添加した混合液からは大量の沈殿物が生じ、200xg, 10分の上清中にはP450はほとんど回収されなかった。一方デオキシコール酸を添加した混合液からは、乳白色の澄明なけん濁液が得られ、200xg, 10分の上清中にp450及びP450還元酵素がほぼ定量的に回収された。このけん濁液をSephacryl S1000によるゲル濾過で解析した結果、平均粒子径180nm(約50-500nmの範囲にその80%が含まれていた)のリポソーム様粒子であることが判明した。現在このリポソーム様けん濁液の薬物代謝活性を検討中である。
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