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1997 年度 実績報告書

細胞内カルシウムによる心臓洞房結節細胞の自動能の制御機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09771968
研究機関東京大学

研究代表者

赤羽 悟美  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00184185)

キーワード洞房結節 / ペースメーカー / カルシウムイオン / カルシウムチャネル / カルシウム放出チャネル / 心臓 / ナトリウムカルシウム交換体 / 自動能
研究概要

心拍リズムの制御における細胞内Ca^<2+>の役割を明らかにするために、単離洞房結節細胞の細胞内遊離Ca^<2+>と電気的応答の関連を調べた。共焦点レーザー顕微鏡で洞房結節細胞のペースメーカー電位に応じた細胞内Ca^<2+>動態を検討したところ、特定の部位に局所的Ca^<2+>トランジェントが発生し、これが細胞内全体へ伝わりホールセルCa^<2+>トランジェントに至るというパターンを示すことを見出した。この局所的およびホールセルCa^<2+>トランジェントは電位依存性L-型Ca^<2+>channelを介した細胞外Ca^<2+>の流入とそれによる細胞内ストアからのCa^<2+>依存性Ca^<2+>放出により形成されることを示した(Circulation,(1997)96,No.8,I-239)。L-型Ca^<2+>channel電流に対するCa^<2+>放出によるCa^<2+>シグナルの増幅度合いは約3倍と、心室筋細胞において申請者が過去に報告した20-30倍に比較して小さく、従来考えられてきたとおり洞房結節細胞の細胞内Ca^<2+>ストアが未発達であることを示した。さらに、細胞内ストアからのCa^<2+>放出をryanodineやcaffeineで枯渇させると、ペースメーカー頻度が30-35%まで減少することを見出した。このことは、放出されたCa^<2+>がion channelやtransporterの活動の修飾によりペースメーカー電位の制御に関わっていることを示唆する。細胞内ストアからのCa^<2+>放出はCa^<2+>汲み出しモードのNa-Ca exchange活性を誘発するが、それにより算出されたNa-Ca exchange電流の密度は心室筋細胞の3倍以上と非常に高いことを見出した。このことは、Na-Ca exchange電流がペースメーカー活動電位にかなりの貢献をすることを示唆する(Biophysical Journal,(1998)74,No.2,A56、以上投稿準備中)。また、洞房結節細胞の代表的なペースメーカー電流の一つであるI_f電流の制御機構を検討し、細胞内Ca^<2+>およびcalmodulinを介して制御を受けている可能性を見出した(投稿準備中)。さらに、まだクローニングされていないこのI_fチャネルの構造に化から関わる解析を行い、cAMPによる活性化にカルボキシターミナル部分が必要であることを見出した(第71回日本薬理学会年会、投稿準備中)。現在は、洞房結節細胞のペースメーカー電位形成に関わるion channelやtransporterの中で細胞内Ca^<2+>による修飾を受けるコンポーネントを解析中である。

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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