研究概要 |
マルチフォーカス立体ビデオ顕微鏡の開発と細胞内情報伝達機構解明への応用を試み、以下の実績を得た。 1.マルチフォーカス立体ビデオ顕微システムの構築 異なる複数の焦点面の明視野像あるいは蛍光像を同時にリアルタイムで観察し、生きた細胞でリアルタイムに3次元的な観察を行うことを目的として、顕微鏡、ビームスプリッター、ハーフミラー、ミクロ型Z型ステージ(自作)、高画質業務用ビデオデッキ、リアルタイム画像解析装置(設備備品費にて購入)を組み合わせて、マルチフォーカス立体ビデオ顕微鏡を開発した(一部、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 15,1483-1488に報告)。 2.RBL-2H3細胞における開口放出機構の解明 アレルギー反応時に重要な役割を演じるマスト細胞からのヒスタミンの遊離機構を、モデル細胞であるRBL-2H3細胞と本研究において開発したマルチフォーカス立体ビデオ顕微鏡を用い解析した。その結果、fluo-3蛍光を指標として細胞内カルシウムの変化を、2つ以上の焦点面で同時に観察することにより、抗原抗体刺激後の細胞内でのカルシウムイオンの動態は細胞内で一様に変化するのではなく部位により異なっており、しかも各々の領域は細胞内骨格タンパク質を中心とした障壁により隔絶されており、各々で独立して変化すること等を発見した。今回の発見は、これまでの1焦点面のみでの観察では行うことが困難であり、マルチフォーカス立体ビデオ顕微鏡の開発により初めて可能となった(J.Biol.Chem.272,13033-13039;Japan J.Pharmacol.73,68-69;bunseki,720-726)。
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