研究概要 |
HIV-1感染刺激により新規発硯する宿主細胞由来N-ミリストイル化タンパク質を介した細胞内情報伝達機構を解明することは,HIV-1感染によるCD4陽性リンパ球の減少阻止,AIDS発症抑制に貢献できるのもと考え本研究に着手した。 ヒトリンパ球細胞にHlV-1(m.0.i=0.01)を感染させ,24-96時間培養後,申請者らが作製した抗ミリストイルグリシン単クローン抗体を用いたウェスタンブロット分析により,ミリストイル化タンパク質の検出を行った結果,分子量28kDa及び分子量75kDaの新規N-ミリストイル化タンパク質を見出した.N-ミリストイル-p28タンパク質は,非感染細胞(CEM)及びHIV一1急性感染細胞中には存在しないことから,HlV-1感染細胞の安定化・潜伏に必須のタンパク質であることが示唆された.また,同様に,申請者らが作製した,ミリストイル化を触媒する酵素N-ミリストイルトランスフエラーゼを認織する単クローン抗体を用いたウェスタンブロット分析により,HlV-1急性感染細胞内N-ミリストイルトランスフエラーゼの検出を行った結果,分子量88kDa,63kDa,及び57kDaのタンパク質が検出された.特に,分子量88kDaのタンパク質は,従来報告されているN-ミリストイルトランスフエラーゼではないことから,新たなN-ミリストイルトランスフエラーゼ相同性タンパク質であることが考えられ,HlV-1感染に関与する情報伝達タンパク質であることが示唆される.現在,これらの新規タンパク貿に関して,生化学的・分子生物学的に解析中である。
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