ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)には組織分布が異なる複数のアイソザイムが存在し、それぞれが一次構造が大幅に異なる興味ある機能ドメイン(亜鉛フィンガーやEFハンドモチーフ等)を持っている。しかし、それらDGKアイソザイムの生理機能はいまだ不明である。その理由として、DGK(の各ドメイン)と直接相互作用する因子、すなわちactivatorやinhibitor等の活性調節因子、膜との結合に関与する因子等、が不明で、具体的に連関する経路が明らかでないことが挙げられる。本研究では、DGKα及びDGKδと相互作用する細胞内因子の検出、同定を試みた。DGKαの全長及びC1、C4領域をbaitとして、胸腺cDNAライブラリーを酵母のtwo-hybrid systemによりスクリーニングし、相互作用する蛋白質のクローニングを試みた。しかし、DGKαと相互作用する蛋白質の同定はできなかった。DGKδのC端部分をbaitとして、ヒト精巣cDNAライブラリーを同様の方法でスクリーニングを行ったところ2つのクローンが得られた。一つはDGKδを、もう一つは未知のタンパク質をコードしていた。この未知のタンパク質の全長のcDNAクローニングを行ったところ、1210アミノ酸からなるタンパク質をコードしていた。このタンパク質はN端部分にprotein kinase domainを持っており、現在、このタンパク質の性質を解析中である。
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